マーケットコラム

●規制緩和で自由競争の時代が到来。
ニッチをとらえた企業が"勝ち組"に!

 「モラトリアム世代」という言葉がはやったことがある。ある年齢に達しても、大人になりきれない層をさしてそう呼んだ。規制緩和が進むなか、これまで"過保護"にされてきた企業が、いきなり"弱肉強食"の時代といわれて戸惑っている様子にも似ている。しかし、規制が緩んでくると、今度はそこに隙間ができるのもたしか。
つまり「ニッチ(niche)」が生じるわけだ。消費不況のなか、このニッチを上手くとらえた企業が勝ち組になっている。

 ニッチという言葉は、ふつう「隙間」と訳されている。本来は「(花瓶などを置くために壁に造られた)くぼみ」あるいは「適した場所」という意味だ。英語でfind a niche for oneselfは「自分の適所を見つける」の意。
 さて、最近の市場に目をやれば、コンビニエンスストアが"ニッチ"な産業の温床になっている場合が多い。そもそもはコンビニ自体がニッチ産業だったが、これが爆発的に拡大。今ではここを舞台に数々のヒット商品(サービス)が生まれている。
 たとえばオニギリや弁当はその代表。これらは外食と家庭料理の隙間にある存在だが、今やその売上は膨大。こうした商品を提供する企業はつぎつぎ株式公開するにいたっている。今後は規制緩和が進み、コンビニが金融サービスなどに進出する可能性も高い。既成の枠組みの隙間をついた点が成功の要因だ。

◆ニッチを捉えるには
 詳細なデータ管理が不可欠

 一方、規制に縛られていた既存のスーパーは厳しい状況に追い込まれている。こうした例はさまざまな業界に見られる。
 では、なぜコンビニはニッチをとらえることができたのか。もちろん規制の隙間をついて、深夜営業などを展開したこともある。だがそれ以上に、詳細なデータ管理で顧客のニーズを細かく把握している点が大きい。時間帯ごとに商品を管理し、顧客の消費行動を細かくチェックしながら一人一人に対応したサービスを展開している。
 かつての呉服屋は、得意先のタンスの中身まで覚えていたという話がある。コンビニの戦略はこうした商売の現代版だ。いわば新しい形のワントゥワン・マーケティングである。

◆所得格差が広がるなか
 従来とは異なる戦略が必要

 このように、売り手側では従来の枠を超えてさまざまな商売が誕生。割安専門店やカテゴリーキラーの隆盛がそれを実証している。一方、消費者側では所得格差が拡大。97年後半をピークに消費水準も下げ続けている。所得層でいえば年収600万円台以下の層で下げが顕著だ。「総中流意識」の時代は終わり、階層間の違いが明らかになっている。
 逆にいえば、階層間の違いが鮮明になると、ターゲットは絞りやすい。あとは従来型にとらわれない戦略だ。明らかに市場は変わっている。たとえば米国では昨年のクリスマス商戦で、インターネットを含むオンラインショッピングが2.5倍に拡大した。既存の販売ルートの隙間をついて、いち早く市場を獲得した企業が次代の勝ち組になるといえそうだ。


アーリア行政書士法人発行
季刊情報誌「FOUR SEASONS」1999年秋号Vol.11
取材・文/大西昭彦(経済ジャーナリスト)



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