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リストラや高失業率など、会社員には"受難の時代"が続く。これは経営者にとっても同じだ。「優秀な人材を集め、効率的経営を目指したい」と望むが、現実はそう上手く運びはしない。闇雲に社内改革を進めれば歪みがでるし、停滞すれば衰退する。そんな苦しい現状を、あちこちで耳にする。そこで、今回はリストラと人材活用に焦点をあてた。
「従来の生命保険は緊急時に備えるもの。しかし今は、将来の不安をいかに軽減するかが鍵。自分の生活を見てもうなずける」 そう話すのは生保会社の営業マン(神戸在住)。彼はリストラで銀行を辞めた転職組だ。職探しの際、自分の市場価値はこれだけと値づけされ、ショックを受けたという。自分が思っている以上に、世間の評価は厳しかった。年功序列に慣れた日本社会では、これまで市場で人材の価値を計られることはなかった。ところが今や、人材は商品のように労働市場で売買される。 この営業マンは転職の教訓をこう話す。「商品と同じで、人材の価値も長期的にはいくらでも変わる。必要以上に悩まない方がいい。ただ、本当は安い価値しかないのに高値がついている人が多いのも確かだ」 ◆能力主義導入の目安として 欧米型の「10%主義」を この言葉は、事業の再構築のやり方がまだまだ甘いという意味にもとれる。「経済再生にはさらなる失業率アップも必要だ」と語るエコノミストも多い。 では、何によって社員の価値を計るのか。欧米社会には「10%主義」(稼ぎの10%が報酬)というビジネス文化がある。業種によって比率は5%だったり20%だったりするだろうが、価値判断の目安にはなる。これを曖昧にしたまま人員整理や経費節減が進むと、会社の活力が失われる事態にも発展する。それでは逆効果だ。 名古屋のある電子メーカーが、能力主義の人事を導入した。結果、40代の部長が多く誕生。部長より年上の部下もいる。彼らにとっては面白くないが、人事に口は挟めない。それなら「せめて仕事上では遠慮はしない」ということで、会議で活発な意見が交わされるようになった。 ◆人材を有効活用するには 敗者復活のシステムが必要 だが、これは稀な例で、リストラや能力主義導入が混乱を呼んだケースは多い。ウェットな日本型人事を、「稼ぐのは良い人」というドライな米国型に転換するのは容易ではない。また、慣例や固定観念にはばまれ、組織内で実力を発揮できなかった人材もいる。女性や高齢者はその典型だ。 たとえば中古車市場では最近、女性が車を売りにくるケースが急増。「彼女たちは買い値にもシビアだが、それ以上にサービス面に敏感」(中古車販売店)という。対応策として、担当者に女性を登用した会社もある。 事業の再構築を成功させるには、たしかに効率化が不可欠。ただしその裏側には、社員のやる気を起こさせるための心理的仕掛けが必要だ。それには、正当な評価とともに敗者復活や失敗を許せる仕組みが欠かせない。
アーリア行政書士法人発行 季刊情報誌「FOUR SEASONS」2000年夏号Vol.14 取材・文/大西昭彦(経済ジャーナリスト)
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