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この10年で値段のあがったものはほとんどありません。デパートの衣料品価格は、バブルの頃に比べると格段の低下。たとえ従来と同じ値段でも、品質はかなりよくなっています。名づけてこれをユニクロ現象。今回はそんな現象に目を向けてみました。
阪神間のJR住吉駅に昨年暮れ、「ユニクロ」がオープンしました。店内は連日の盛況。大阪の和泉市では今年1月、売上高で流通業世界第2位のフランスのスーパー「カルフール」が登場し、客が殺到という話です。 ここ数年、規制緩和や円高を利用して、高品質の商品をグローバル価格まで引き下げる企業が増えています。経営改革に成功した企業ですね。こうした企業に引きずられ、他の企業も値引きを余儀なくされています。そのためモノの値段はどんどん下落。外資系の参入もそれに拍車をかけています。 背景には、企業も個人も分相応な生活様式へと転換を始めたことがあります。宴会は1次会だけ、高級クラブはがらがらで、道路には客待ちタクシー。航空料金も電話代も大幅に下がりました。 ◆マクドナルドの半額戦略 こうしたなか、マクドナルドが平日に限りハンバーガー半額(65円)を打ち出し、ロッテリアも追随しました。そもそも日本マクドナルドの戦略は「味も値段も店の雰囲気もそこそこ」というもの。つまりすべてを適当なレベルに設定して勝負しようというわけです。これを"相対的競合優位性"といいます。その結果が外食産業トップの座です。これに加え、同社が打ち出した半額商法は消費者にインパクトを与え、中高年層など新たな顧客開拓に貢献しました。 自動車も同じです。外食産業ほどではありませんが、国内乗用車の生産額はここ2年半で台当たり約7万円低下。価格上昇が続く軽自動車を除けば、普通車は17万円、小型車で8万円の低下です。一方、割安感のある価格帯でも、上級仕様モデルの内装・装備が定着しつつあるのも事実です。 ◆まずは「身近な変革」から 企業にとって、これは厳しい現実。商品・サービスの値下げを迫られる一方で、収益率の上昇も求められているのです。ですから業績が改善したからといって、簡単には人件費抑制を緩められません。割高な人件費は最大の経営課題の一つ。つまり人件費抑制傾向が続くために、物価の下落圧力がますます強まっているわけです。 数100社の企業経営を見てきたという経営コンサルタントと話をしていると、「アウトソーシングの活用はもちろん身近な変革が不可欠。だが、意外にこれが難しい」とのこと。同氏は次の点を指摘しておられました。 1. 社長や幹部の意識が大企業的 2. 社長や幹部が怒鳴る 3. おカネの話ばかりする 4. 社員に経営者意識がない こんな企業は要注意だそうです。つまり大切なのは新たなアイデアが生まれやすい社内体制。ちなみに、ある経済リポートは「新しい価格水準(廉価)に消費者が慣れつつある今、価格競争を超える戦略が必要]と報告しています。
アーリア行政書士法人発行 季刊情報誌「FOUR SEASONS」2001年春号Vol.17 取材・文/大西昭彦(経済ジャーナリスト)
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