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IT革命という言葉も、最近はいささか食傷気味です。無機質で非人間的な印象が強いため、IT批判もあとを絶ちません。「革命、革命というけれど、いったい何が変わるの」という声があるのも確か。だからといって、昔ながらのアナログ世界に閉じこもっているわけにもわけにもいきません。
毎朝の新聞にITの文字を見ない日はありません。ブロードバンドやADSLなど、コンピューターに弱い人には恫喝じみて聞こえる言葉が、マスコミに氾濫しています。じゃあ、なにが変わるのかといえば、世の中の情報や知識の多くがインターネットを通じて入手できるようになるわけです。しかも、誰でも簡単に低コストでそれを取り込むことできるのです。 たとえば好きな音楽を聴きたい。そんなとき、今はCDを買うのが一般的です。でも、今後はインターネットから瞬時にダウンロードできるようになっていくでしょう。映画などもそういう方向に進みつつあります。専門情報も同じですね。つまり、"買いためる"必要がなくなるのです。 ◆情報の蓄積から活用へ では、こうした状況が企業社会にどんな影響を及ぼすのでしょう。ここにある調査結果があります。企業の資産について30年前と今を比較したものです。これによると、30年前は資産の約8割を建物や機械などの設備が占めていました。ところが、今では資産の約7割を専門的な知識や情報が占めているのです。これまでは、こうした知識や情報を主に企業内の個人が所有していました。そのため、長期雇用のシステムが成立していた面があります。 ところが、ネットワーク社会が浸透すると、情報や知識を企業内に蓄積する必要性が低くなります。インターネットがそれを代行するのです。それでは企業は、どう変わるのか。企業は従業員を長期に囲い込む必要が薄れてくるのです。したがって、企業は固定費を抑え、その分はアウトソーシングで外部に委託するスタイルがますます強まるでしょう。 ◆いかに消費者の声を聞くか さらにいえば、IT時代における本当の差は、IT以外でつくといっても過言ではありません。"デジタル・ディバイド"(情報処理能力の格差)が盛んにいわれますが、これは過渡的な現象です。つまり、ITでできないことを見つけだし、そこで差をつけることが必要になってきます。自動車関連でもネット販売がかなり盛んになってきました。しかし、これが一般化した時点で、はじめて企業の真の実力が問われます。 インターネットを用いる商取引は、従来の大量・一律供給方式を大転換させる潜在力をも持っています。市場規模が小さかったり、潜在的需要はあっても消費者が地域的に分散していたため、これまでは生産がなされなかった商品があります。これらを生産しても採算がとれるようになります。もっといえば、消費者がインターネット上で集まり、供給者に働きかけることもできるのです。今後、企業に求められるのは、こうした消費者の声をいかに聞くかということではないでしょうか。
アーリア行政書士法人発行 季刊情報誌「FOUR SEASONS」2001年夏号Vol.18 取材・文/大西昭彦(経済ジャーナリスト)
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