マーケットコラム

●「バズ・マーケティング」で消費者のクチコミを活用

 最近、マーケティングの世界で注目されているのが「バズ」です。簡単にいえばクチコミ。情報通信が発達すればするほど、バズが市場に与える影響は大きくなっています。そこで今回はバズ・マーケティングについてご紹介します。

 昨年の夏、映画『千と千尋の神隠し』が国内最高の興行記録を打ち立てました。この冬は『ハリー・ポッターと賢者の石』が爆発的人気。J・K・ローリングの原作も360万部を超える大ベストセラーです。こうしたヒットの背景にあるのが、自然発生的な宣伝。つまり「バズ」です。
 バズとは本来、ハチのブンブンという羽音のこと。これが転じてウワサ、クチコミをさすようになりました。短期間で感染的(バイラル)に情報が広がるこの仕組みをマーケティングに適用すれば、最も効果的な宣伝になるのです。
◆「バズ」をコントロールする
 人は自分の経験を人に話したがるものです。かといってバズが偶発的なものかというと、そうではありません。バズには「先導者」が必要です。いわば、その世界におけるオピニオンリーダー的存在です。
 かつて若者ファッションの世界では、東京よりも神戸が一歩先を走っていた時代があります。とくに阪急岡本界隈は流行の最先端地でした。業界関係者はここで流行を観察し、「これはイケそうだ」と思ったものを東京・原宿に投入するのです。あとはクチコミで輪が広がり、やがて全国的な流行現象が起こるという図式です。私たちが気がつくのは、ようやくその頃になってから。
 クチコミに目をつけ、もう30年以上前からこれを活用しているマーケティング会社もあります。ドゥ・ハウスは首都圏・近畿圏で「DOさん」と呼ばれる主婦をインターネットで直結し、66,000世帯にも及ぶネットワークを構築。井戸端会議やキッチンパーティーを催し、そこで商品の評判を聞いたり新商品をPRするなど、実践的なバズ・マーケティングを展開しています。
◆ランキングの威力は大きい
 さて、バズを起こすために有効なツールとして、ランキングがあります。この手法は商品や店の売れ行きを大きく左右するマーケティングの基本。インターネットの普及がその傾向に拍車をかけたこともたしかです。
 たとえばアメリカの自動車販売業界では、消費者が欲しい車と年式を記せば、各地域のディーラーの価格が一覧できるホームページがあります。そこではサービスの良し悪しも評価され、各店舗のランキングまでが記されています。
 情報を流されるのを拒んで、情報をオープンにしない業者は消費者の信頼を失い、市場から消えていかざるをえません。これはなにも消費者との関係だけにとどまりません。メーカーから販売業者への卸価格でさえ、しだいに白日のもとに晒されようとしています。今や情報をクローズしておくことは急速に困難になっています。こうした時代だからこそ、バズの影響は極めて大きいのです。


アーリア行政書士法人発行
季刊情報誌「FOUR SEASONS」2002年冬号Vol.20
取材・文/大西昭彦(経済ジャーナリスト)



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