マーケットコラム
●最近のプロ野球を見て
 自動車マーケティングを考える

 スポーツ・マーケティングの専門家と話す機会がありました。コンサルティング会社を経営するかたわら大学教授も務めるH氏によれば、世界中で経営に成功している球団は3つ。米大リーグの「NYヤンキース」、英国のサッカーチーム「マンチェスター・ユナイテッド」、そして「読売巨人軍」だそうです。

 ところが、今年は目下最下位に低迷している巨人。「それよりも今年から球団の業績が急速に悪化する可能性がある」とH氏は話します。


 巨人の話でふと頭に浮かんだのが、米国の自動車市場です。

 米国市場で日本の自動車メーカーが軒並み好成績をあげているのに対し、不振を極めている米国ビッグ3。原因はあきらかにガソリン価格急騰による消費者の小型車シフトです。

 たとえばGMはここ数年、米国内での保守回帰に焦点をあててきました。ビュイック初のSUVランデブーは、無難なデザインの7人乗り。その割にはお手ごろ価格で、市場の受けもまずまず。一方で、高級車市場には、日本車や欧州車では近頃見かけない鋭角的デザインを多用した新型キャデラックを投入しました。

 ところが、ふりかえってみると、時代が要求するような小型車が見当たりません。


 先のH氏はプロ野球市場の特異さをこう語ります。「一人勝ちでは業界が成り立たない。そこが他の市場と異なることです」と。

 すなわち、プロ野球の商品は選手や球団である以上に、ゲームであるという意味です。消費者の志向が多様化し、この傾向はますます強まっています。敵は他球団ではなく、野球以外のスポーツなのでしょう。

 業界内の熾烈な戦いがあるのは確かです。しかし、もうひとつの大きな視点が要求される。これはいまや、業界や立場を問わず、多くの人に当てはまることに違いありません。

 

Four Seasons 2005年5月20日掲載



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